shigiphoto days

FUJIFILM GFXシリーズで撮った写真をつらつらとご紹介。

MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4で撮る春霞

はじめに

最近グッと暖かくなりましたね。空は霞むし花粉も黄砂も飛んですっかり春の様相です(気温よりもこっちに春を感じる)。さて、この霞んだ空は風景撮影には不向きだと思っています。クリアで抜けの良い空や景色を切り取るのが楽しい被写体ですから。毎年春は何を撮るか悩ましい。

この日は大気の透明度が非常に低くて、いつもは見える淡路島や大阪の景色は霞の中でした。冬なら泉佐野あたりの工場やその奥の生駒?の山も見えるんですけどね。そこでもういっそ思いっきり霞ませてやろうと使用率の低いソフトレンズを防湿庫から取り出したのです。少し前に「綾部山梅林が満開を迎える事なく閉園しそう」という記事を読んで気になっていたので、確認がてら梅を撮ることにしました。(梅林は0分〜散りかけまで満遍なく分布してる感じでした。桜みたいに足並みは揃ってなかったです)

 

ソフト写真

綾部山梅林の展望台から室津方面。牡蠣筏がこのエリアっぽいです。ソフト量は控えめですが、眼視で見たイメージはこんな感じでした。撮影場所から5kmも離れていないのに全然見えないですね。。。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4.0, ƒ/8.0 1/250 145mm ISO200 soft-白印

 

今回の梅写真は全てフィルムシミュレーション エテルナで撮影しています。普段はほぼ使わないエテルナ、ソフトとマッチしているのか梅とマッチしているのか…他のフィルムシミュレーションは全てくすんで見える中、エテルナは輝いて見えました。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/250 145mm ISO200 soft-白印

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/400 145mm ISO 200 soft-白印

白梅は露出オーバー気味に撮るとソフト効果と相まって清楚で端正な佇まいです。GFX100Sのダイナミックレンジの広さがこの設定をしっかり支えてくれています。ハイライト部分が飛ばずに粘る限界値が高いんですよねぇ。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/340 145mm ISO 100 soft-白印

枝垂れ梅。上の写真と違ってソフト量が最大です(橙→白→赤→緑→青の順にソフト量が減ります)。さらにわざと厳しい光線で撮ってコントラストも意図的に下げました。このレンズ解像は凄い(後述します)ものの逆光耐性は極めて低いです。この辺はコーティング技術等、現代レンズの凄さを実感しますね。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/250 145mm ISO500 soft-橙印

 

箸休め。上だけでなく足元にも被写体がいる喜び。この日は本当に暖かくてのんびりした気候でした。花粉さえ飛んでいなければ…

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/250 145mm ISO200 soft-白印

 

紅梅は白梅と本当に真逆の存在に感じます。基本は可愛らしい感じですが、妖しい雰囲気にもなります。なんにせよ華がありますね(当然か)。この写真、もうちょっとアンダーに現像した方が良かったかな。たくさん撮ってたくさん現像しているとよく分からなくなる現象に陥ってます。数ヶ月後、先入観のない頭で見れば自然と答えは出るでしょうが。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/250 145mm ISO100 soft-白印

ソフト量と絞りを色々試行錯誤して、メインの花びらと背景描写のベストな組み合わせを探って撮った1枚です。ぼかしすぎたりソフト過ぎるとベターっとした塗り絵みたいになっちゃうので難しい。というか、デジタルでないと使いこなるのはとても大変だと思います。F8に自動的に絞り込まれるギミック(被写界深度が深くなりソフト効果も弱まってピント山が見えやすくなる)を使っても、かなりピント合わせは難しいでしょう。デジタルはピーキングがあるのでなんとかなってますが。。。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/5.6 1/250 145mm ISO400 soft-白印

なんとなーくボンヤリした春の空。

FUJIFILM GFX100S, MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4, ƒ/11.0 1/2000 145mm ISO100 soft-緑印

 

MAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4.0について

最後にこのMAMIYA-SEKOR SF C 145mmF4.0レンズについて。

MAMIYA645用のソフトレンズです。このシリーズは「C」のみの前期型と「C N」の後期型があり、SEKOR SF C 145mmF4.0は「C」のみの前期型のはず。人気や需要は低いらしく調べても全然情報が無いですね。ヤフオクやメルカリでも取引価格は1万円前後とお安いです。

lens-db.com

不人気レンズですがメカとしては凝っていて、リングが3ヶ所&稼働部分は4ヶ所(絞りを強制的にF8にするギミック)もあります。リングはレンズ先端から順にソフト量/ピント/絞り。この先端のソフト量コントロールリングが面白く、絞りとセットでソフト量を任意にコントロールできます。被写界深度とソフト量をしっかりイメージできないとホワホワ写真を量産することになります。

さらに難しいのが、ソフト量を変更するとピント位置もずれる事。一昔前は絞りを変えるとピント位置も移動しましたよね。フォーカスシフトというやつです。このレンズはソフト量と絞りのどちらを変えてもフォーカスシフトが起こるので、毎回真剣にピント合わせが必要です。

さらにさらに、ソフト量を変更すると最短撮影距離と無限遠位置も変化します。ソフト量を減らすと(シャープに写そうとすると)最短撮影距離は長くなるのです。これを使ってからGF35-70mmやX100Fのレンズが「最短撮影距離で撮るとソフトっぽくなる」現象が理解できました。ああ、最短まで画質を維持しようとすると、必然的に最短が長くなるんだなぁ、と。ちょっと目からウロコでしたね。

このレンズ、ソフトレンズなので描写は甘いんでしょう?と思われたと思います。しかし意外や意外、レンズの単純な解像力は非常に高くGFX100Sの1億画素にも結構耐えているのです。

個人的にはsmc PENTAX-FA645 120mmF4 Macroには及びませんが、MAMIYA-SEKOR A  150mmF2.8と同等かと。PENTAXの120mmMacroはGFレンズにほぼ近い性能なので、その次点に来るのは結構凄い事だと思います。なのでソフトながら「しっかり芯のある描写」というヤツになるんですね。MAMIYA645用の前期型レンズの中では最も素性が良いかもしれません。
ということで、前半は梅写真/後半はSEKOR SF C 145mmF4のお話でした。ソフトレンズは最近特に流行っているというわけではありませんが、GFXで使える貴重な変わり種レンズです。それに描写は結構好みなので、今後もお花やマッチしそうな被写体には使っていこうと思います。