はじめに
GFX100Sを購入してから1年が経過しました。この間で撮影した枚数は9000枚ほど。風景、スナップ、ポートレート(子供)、フィルムスキャン…いろんな使い方をしています。凄いスペックのカメラではあるものの、実際に使うとカメラはカメラ、特別なことはありません。ここ数年はGFXしか使っていないので慣れてしまい「まぁこんなもんよね」と思いがちですが、しかし未だに息を呑む様な体験をすることもあります。1年間しっかり使い込んだ自信はあるので、良いとこ悪いとこ含めて魅力をお伝え出来ればと思います。
GFX関連のレビュー、考察?記事はこちら。
目次
自己紹介
最初にレビュー者である私について少しだけご説明します。人によって評価軸が違うと思うのです。例えばAF性能が凄い!と書いたとしても、被写体が静物/人物/動体…によって「凄い」のレベルは違いますよね。私と読者の皆さんのそのギャップを埋めるための自己紹介です。
私が写真を始めたのは10年ちょっと前で、最初のカメラはRICOHのGXRでした。使ったことのあるボディメーカーはRICOH、SIGMA、FUJIFILMの3社のみ。FUJIFILMを使い出して8年ぐらいは経過しています。メーカーからご想像できるかとは思いますがボディはミラーレス機のみで一眼レフは所有したことはありません。好きな撮影対象は風景、ですがスナップや子供のの撮影もやります。綺麗なおねいさんやモータースポーツ、鉄道、動物は基本的に範囲外。今は現行レンズばかり使っていますが、以前はオールドレンズでの撮影を楽しんでいた時期もありました。
見事に大手のカメラメーカーを外しているので、基本的に「速さ」「賢さ」に関する感覚は寛容です。インテリジェントなAFやトラッキング機能はあまり重要視していません。なので上の例でも挙げた様にAF性能に関しては、私は十分だと感じても他者メーカーユーザの方からすれば「お話にもならない」かもしれません。逆にレンズの光学性能や写真の色再現については厳しいかもです。私自身、自分の感覚が平均値からどの程度乖離しているのかは分かっておりません。。。
レビュー方針
さて、普段はしっかりとしたレビュー記事は書かないので、どう評価をまとめて良いのやら…結構悩んで考えました。そこで改めてGFX100Sの公式サイトを確認すると、「特徴」という良い区分があるではないですか!基本はこれに沿ってレビューし、まだ言い足りない事があれば追記することにします。
GFX100S 公式サイトの項目についてレビュー
デバイス
この章には「ラージフォーマットセンサー」「プロセッサー」「GFマウント」「ボディ内手ぶれ補正ユニット」について記載されています。今回はセンサーとIBISについて触れようと思います。
センサー
GFX100Sの1番の目玉であるセンサー、皆さんが気になるのは「1億画素って?」「フルサイズセンサーと比べてどう?」「高感度耐性は?」あたりではでないでしょうか。
画素数について
1億画素の良さ、月並みですが写真の情報量が増える事だと思います。緻密な描写から生み出されるなだらかな階調、適切なコントラスト。被写体の造形自体は一見細かくなくても、光の反射は私たちが思っている以上に複雑で細やかなんですね。画素数が多いとこの光の機微をしっかりキャッチすることができるのです。私がこれに気づいたのは海面の写真を撮った時。水面のぬるりとした質感がしっかり写っていてとても驚きました。
そんなの、超高精細な大型モニターでの鑑賞やA1/大全紙にプリントしなきゃ意味ない!わからない!と仰る方もいるでしょう。確かにパフォーマンスを100%発揮するには大きな媒体で見る必要があります。大きいは正義。しかし、縮小された状態でも上で述べた光の機微の「残滓」はしっかり感じられます。なので私は画素数は可能な限り多い方が良いと考えます。
森の中で見上げた写真。こういう緻密な対象をしっかり描写できるのは高画素機ならでは。
あと単純によく写ってるのは気持ちいです。自己満足なのは分かっています。モニターの前で1人等倍画像みてニヤニヤして意味あるの?ええ、あります。自己満足できるって大事なことですよ。
フルサイズセンサーと比べて
ではフルサイズセンサーと比べたらどうでしょう?特にピッチの近いα7RⅣと比べたら…という事は比較していないので確かな事は言えません。なんせフルサイズ機は全く使ったことがないので…ただフルサイズ界隈の方が圧倒的に選択肢の幅が広いので、フツーに選ぶならこちらの方がいいと思います。特にボケ量は4433フォーマットセンサーのGFXよりもフルサイズ機にF値の小さな中望遠レンズを組み合わせる方が有利だと思いますね(ボケについては「画質設定」で取り上げます)。
最後に高感度耐性
裏面照射型cmosセンサーを採用しており、サイズの大きさも相まって高感度耐性は流石だなと感じます。一昔前は高画素=高感度に弱いっていうイメージありましたよね。初代α7Sは画素数を1200万に抑える代わりにISO40万を達成していましたし。しかし裏面照射型cmosセンサーが一般的になってからは一気に高画素化が進んだ印象です。だからといって1億画素は流石にピッチ狭すぎでは…?と思われるかもしれませんが、GFX100Sの画素ピッチは3.8μm、これはフルサイズの6000万画素、APS-Cの2600万画素、M4/3の1600万画素と同じぐらいです。APS-Cの2400万画素やM4/3の1600万画素は裏面照射型cmosセンサーが流行る前から一般的でしたよね。
私の個人的な感覚の話ですが、X-H1のISO1600=GFX50RのISO3200=GFX100SのISO6400…といった印象です。GFX50Rを購入した時「期待したほど高感度耐性は上がってないなぁ。体感1段ぐらい?」と思っておりました。50Rから100Sに乗り換えて更に1段上がったので、X-H1からは2段回の違いだと思っています。
こちらの写真は暗い喫茶店でISO12800撮ったもの。ISO3200でもと撮っていたので見比べてみてください(なぜISO6400を撮らなかったのだろう…?)
この記事を書いている最中に気になってPhotons to Photosでダイナミックレンジを調べてみたら、ほぼ体感通りの数値になっていました。ちょっとびっくりですね。数値が絶対とは言えないものの、感じていることが視覚的に比較できると面白いです。皆さんも良ければやってみて下さい。
IBIS
手ぶれ補正。正直この機構は搭載されていなくても写真は撮れます。100Sの前はIBIS無しの50Rを使っていたので断言できる。撮影者の努力と工夫次第でなんとでもなります。ならIBISは必要ない?いいえ、手ぶれ補正機構は神です。これも断言できる。いつでもどこでも努力と工夫できる人、余裕のある人はそうそういません。GFXという高画質ながらも制約のあるカメラの力を発揮する、とても重要な土台なのです。もちろんこれはGFXに限りません。忙しく疲れた現代人にとってIBISは撮影の自由度を確保してくれる福音と言えるでしょう。
私がこれを強く実感したのは小雨の伏見稲荷大社で撮影した時です。薄暗い境内の中、ゆらめく蝋燭の光とお稲荷様が撮れた時の感動は忘れられません。寺社仏閣なので一脚三脚の使用は御法度でしょうし、週末は大抵平日のダメージで疲れています。そのコンディションの中でも確実に高画質に写真が撮れるということは感謝であり感動でした。
画質設定
公式サイトは「More Resolution」「More Bokeh」「More Tonality」「Film Simulation」「Effects」の5項目に分かれています。今回はこの中から「More Bokeh」「More Tonality」「Film Simulation」の3つについて述べようと思います。ピクセルシフトマルチショットとJpeg撮って出しはこの1年でお試し程度にしか使っていないのでパスです。正直、何かを語るネタが私の中にはありませんでした…
More Bokeh(ボケ)
「中判はボケる」というイメージがありますよね。ではGFXのボケは凄いのか?いいえそんなことはありません。冒頭述べたのは67、66、645のフィルムの話。4433センサーのGFXはフルサイズ機と同じレベルです。もちろんレンズの焦点距離やF値の組み合わせ次第ですが、それを言うとレンズの選択肢が圧倒的に多いフルサイズ機の方がボケに関しては有利でしょう。(カメラバカに付ける薬でも同様の話が取り上げられてます。「APS用で30万を超えるレンズを買うか?」というユーザーの闇とも言える内容にも踏み込んでて面白いですね)
50mmF0.95や85mmF1.2、105mmF1.4や200mF2.0のレンズがある一方、GFXは最も明るいレンズが80mmF1.7で最もボケるのが110mmF2.0ですから。ただし「絞り開放の解像とボケのバランス」はGFXが少し有利かと。レンズが暗い=無理をしていないレンズ設計=開放から高性能だと思ってますので。フルサイズ用の高性能単焦点レンズはF1.2や1.4から超性能ですが、お値段はGFレンズ超えてますから…
こちらの写真はGF80mmの開放F1.7で撮ったもの。1枚目は最短、2枚目は2mぐらいの位置だったかと。まぁボケ(量)はこんな感じです。
More Tonality(階調)
個人的な感想ですがGFXシリーズの良さはボケよりも階調だと思います。私がこれを実感するのは朝日/夕日の撮影と、薄暗い室内や森の中での撮影。朝日夕日は太陽以外ハイライトはほぼ飛びませんし薄暗い環境のシャドウ部は光の濁りが見えるようで美しいですよ。他にも上手く活かせるシチュエーションがあるとは思いますが、今の私で実感できるのはこれぐらい。
ダイナミックレンジが広くその移り変わりも綺麗だと思っている1枚。ついでに雲の解像も素晴らしくお気に入りです。
小雨の伏見稲荷大社にて。鳥居の影の部分がとても美しいです。単にハイライト/シャドウが粘るだけでなく、その階調が滑らかで豊かなので美しく感じるのかな?
古民家カフェで撮ったもの。上で「光の濁り」と書いたのはこの2枚です。上手く表現できないのですが…こんな感じなのですよ。
Film Simulation(フィルムシミュレーション)
突然ですが、皆さんちゃんとシミュレーションって言えますか?「シュミ」じゃなくて「シミュ」ですよ。私は子供のころシュミレーションって言ってました。フライトシュミレーター…。。。
以前の記事でも書きましたが、GFX、特に100SになってからVelviaにぞっこんです。マイブームみたいなところもありますが。FUJIFILMユーザーはクラシックネガがエモくて撮って出し最高!派が主流に感じますが、私はVelviaでRAW現像を推したいです。発色と階調のバランスが良く、色から何かが滲み出してる様に見えるんですよ。もちろんVelvia以外のフィルムシミュレーションも状況によって使っております。気に入った写真をピックアップすると意外とフィルムシミュレーションに偏りは無くてビックリしてます。以下、各種写真をご紹介。
Velvia
Velviaの特徴は発色の良さとコントラストの強さ。被写体によって現像で彩度もコントラストも上げ下げしています。現像方針に一貫性は無く、写真によって変えています。なので撮影時に設定はさわりません。常にニュートラルな状態で撮りたいのです。
クラシックネガ
クラシックネガのポイントはシアンとマゼンタ。この2色を出したい時に使います。詳しい事はデジカメWatchのこちらの記事をご参照下さい。とても興味深いです。特に参考になる部分の抜粋。
藤原 :クラシックネガはかなり特殊なフィルムシミュレーションになっていて、明度によって色の見え方が変わるような設計にしています。ですので、暗いトーンだとシアンに、明るいトーンだとマゼンタになるように調整しています。
——明度によってフィルムシミュレーションごとに色の傾きが異なっているように感じていますが、そういう設計意図があるのでしょうか?
入江 :はい。すべてのフィルムシミュレーションで明度ごとの色の傾きは違います。
露出アンダーで渋い緑(シアン)が出るパターン。
露出適正〜オーバーで綺麗な青(シアン)が出るパターン。
露出オーバーでマゼンタが前に出てるパターン。桜って実物はイメージより白くて黒いので、ピンクを出すためにクラシックネガを使いました。波の写真は夕明けの反射光がオレンジではなくマゼンタだったのでより強調したくてチョイス。
ノスタルジックネガ
撮影枚数の総数は多く無いものの、見返してみると気に入ったショットが多かったフィルムシミュレーション。やっぱり定期的に過去の写真を見返すのは大事ですね。ノスタルジックネガを使うのは①冬〜春の長閑な晴れ日②青を出したい夜スナップ③なんとなく暖色にしたいとき(雑)、です。個人的に①と②は気に入っているのでよければ試してみてください。
①パターン。
②パターン。コツは「軟調」な特性に逆らい、勇気を持ってトーンカーブでグッとコントラストを付けること。そうするとシャドウの中に綺麗な青が出現するのです。
こちらは③パターン。なんとなく暖色に…といいつつ、Lightroomでフィルムシミュレーションを変えて一番雰囲気が良かったのがノスタルジックネガだったパターンです。色々こだわる部分もありますがO型なので結構テキトーでもあります。
エテルナ
このフィルムシミュレーションは難しい。「映画風」という謳い文句をよく見かけますね。私はこの「映画風」というヤツが好みではないので自然と出番は少ないです。が、なんとなーく「侘び」「日本の美」なイメージがあるので、桜や梅はエテルナで撮ることがあります。派手にパーンとPRするのではなくボソッと一言で済ます、みたいな。いやこれじゃよく分かんないですね。
操作
GFX100Sはそれまでのフジ機とは異なり一般的なPSAMのモードダイアルで設定を変更するUIです。あとはC1-C6までカスタム設定があるのも特色でしょうか。それまではISOとSSダイアルのXシリーズを使っていたので買い替え時は不安はありました。が、全くの杞憂でした。 PSAMは広く使われているだけあって使いやすいですし、C1-C6のカスタム設定が非常に細かく(マウントアダプター設定まで個別に)設定できるので、全く不満はありません。というか便利で使いやすいですね。ちなみに上面液晶は全く見ません。見ても情報が頭に入ってこない。パッと見で頭に入るのはXシリーズから続くダイヤルUIでした。
このカメラを使っていて気持ちいいのはシャッターフィール。これは完全に個人の好みなので一概に言えませんが、4433センサーをカバーする大きなシャッター幕が「シュコンッ...!!!」と静謐な上品さを纏って動作する感覚は「良くできた製品使ってる!」喜びを実感しますね。逆に一眼レフの「パシャコン!」という感触や硬質な「パキン!」が好きな方、あとポートレートを撮る方にはイマイチでしょう。
ではその他のボディ機構について。EVF、LCDはちょっと色がおかしいですが、それ以外は可も無く不可も無く。親指スティックは指への当たり面が広くなって使いやすいです。雨の中びしょびしょになる撮影も何度か行っているので防塵防滴機構も信頼できる。ただ全体的な質感はボディの値段に全く釣り合っていません。チルト液晶を引き出すと「キー」という軋むドアみたいな音がします。親指スティックもたまに反応しない場合あり。そして明確に酷いのは親指位置のダイアル。今まで何度もボロカスに書いてきましたが感触がスカスカで官能性のカケラも感じません。私の中の呼び名は「グリコのおまけ」。フジのYoutubeチャンネルで「違いがわかるように位置によってダイアルの感触を変えている(X-E4の対談だったかな?)」みたいな話があったのですが、感触を分ける前にまずマトモなダイアルを1つ作ってくれ、と。もちろん他メーカーはどうなのか?気になるので色々なボディのダイアルを転用デモ機や知人友人のカメラで回しています。X1DⅡ、OM-1、R3、α1、M10…メーカーによって思想の違いはあるものの、フラグシップモデルはどれも「いくらでも楽しく回せる」出来栄えです。しかしフジ機の親指ダイアルはGFX100Sですらグリコのおまけ。絞りリングが無いGF35-70mmはこのダイアルで絞り値を変更することになるので、私の購入候補からは外れてしまいました。あまり批判は好きではないですしFUJIFILMには感謝も応援もしています。でもここだけは擁護できず心の声がダダ漏れに。もう10年近く不満を抱えていますから。。。
フォーカス
GFX100Sは像面位相差AFや瞳AFが搭載されています。一昔前のフジ機を考えるとすごい進歩ですね。それに4433センサー機ですし。ではこれが使い物になるか?玉虫色ですが使い方は被写体次第でしょう。AF-Sで止まっている被写体ならほぼ外しません。合焦するしピントも来ています。瞳AFの検知はそこそこ。被写体の動きと瞳AFの検知タイミングを掴むことができればしっかり撮れます。AF-Cは…あんまりかなぁ。レンズ次第ですが普通に歩いて遠ざかる人に合焦できない事があります。AF-Sで狙うか潔くMF置きピンが推奨。まぁGFXシステムはレンズが大きいのでどうしてもレンズよってAF速度には制約があります。LM搭載レンズはキビキビ動作し、ボディの性能を引き出している感じします。反面ダントツでダメなのはGF80mm。フォーカスレンズが重くDCモーター駆動なのでどうしようもないです。
良く言えば使いこなし甲斐のあるAF、悪く言えば他社AFに追いつく気配も感じないAF、って感じです。
動画、ワークフロー
動画は全く撮らないので良くわかりません。そしてフジ謹製のアプリは基本的に使っていないのでこちらも書くことがありません。。。。あ、Camera Remoteはソフトウェアのアップデートで使ってました。いつも安定してますし、iPhoneを入れ替えてもスムーズに再設定出来ます。ソフトウェアを更新してくれるのはありがたいですし、スマホからサッと作業出来るのも良いワークフローですね。
動画については実用的なネタが無いので、スチルとシネマの切り替えスイッチについて。このカメラはスチル/シネマの切り替えがトグルスイッチで切り替わるUIになっています。ごく稀に動画を使うユーザーからしても、この操作はとても好感が持てます。悩まないですから。SIGMAのfpも同じ思想でスチル/シネマのどちらでも同じ感覚で操作できる。よくシネマ用のRECボタンが余計に用意されている機種を見ますが、動画を撮らない場合は超無駄ですし、大抵目立つ赤いボタンで見た目も悪いですからねぇ。
アクセサリ
この章はストロボとバッテリーについて。
バッテリーはX-T4と同じタイプの物です。常時ブーストモード、電源ONOFFは意識的に行って300枚ぐらい撮影できます。常に予備は持っていますがほぼ出番は無いですね。いいことです。お値段も旧型バッテリーと比較してお安くなっているので嬉しいです。ただ社外品のバッテリーを使うと上面モニターが電源OFF時に消えることがあるので、使わない方が無難でしょう。
ストロボのEF-X500とコマンダーのEF-W1、この2つが随分な値段で販売されています。どこでいくらかとは言いませんが、EF-X500は押さえで買っちゃいましたよ。ただし1回本格的に使ったきりであとは飾りになってますが…やっぱり普段からストロボ撮影する人でないと出番は少ないですね。でも今度会社の広報で撮影するかもしれません。持っていて損は無い、と思うことにしておきます。そういえばストロボ装着するとGFXは3kgぐらいのシステムになるので、その状態で長時間撮影するのは厳しかったですね。1時間ぐらい撮っていると腕がだるくなってきました。普段ポートレート撮っている方は凄いなぁと自分でやってみて分かりました。
GFXの為に整えた環境
GFX100Sはお高いカメラです。その分素晴らしいポテンシャルを秘めている事は、ここまでに紹介した写真で少しはお伝えできていれば良いのですが。が、カメラを買っただけでは散財は止まりません。もちろんレンズは必須、1億画素を処理するPCも重要です。するとモニターが気になり出し、思い通りに現像できるようになるとプリント、プリントに手を出すと紙沼が待っています。。。もちろんここまで沼らなくても十分楽しめますが。ここでは私のカメラ以外の写真環境を少しご紹介します。
MacBook Air M1
仕事はWin、趣味はMacを使っています。100Sの前の50Rの頃は12.9インチのiPad Proを使っていました。第三世代だったはず。カメラが単眼のやつね。50Rの頃は良かったのですが100Sの1億画素には耐えられなかったようで、1枚書き出すのに1分ぐらい掛かっていました。その後M1のMacbookに乗り換えました。M1は凄いです。ファンレスモデルでもRAWからの書き出しは数秒程度、オリジナル画像の読み込みも一瞬CPU稼働率が跳ね上がりますがスッと動きます。
最近思うのは技術の進歩は本当にありがたいなぁということ。一昔前はProモデルでも苦労していたことが、エントリーモデルで楽々こなせます。私の立ち位置は一応ハイアマとすると、Proモデルを使いたくなるのが凝り性の心情というもの。が、実際はAirで快適に運用出来ている。これぞ技術の進歩。ただLightroom上で30枚ぐらい連続で等倍表示をするとCPUの温度は70度ぐらいまで上がります。だからといってOSが遅くなったりはしませんが。M1はどんなに扱いても温度は上がらない、という訳では無いようです。今のところM1 × LightroomCCの組み合わせで不具合は見かけていません。
初めて見ましたw
— shigitoki (@shiginununu) November 28, 2021
300枚ほど書き出し処理をやってみましたが、メモリは12GBぐらいですね。もっとたくさん積んでいれば比例して上がるのかもしれませんが… pic.twitter.com/lmyYMQWfgW
Adobe Lightroom(1TBプラン)
言わずと知れたRAW現像ソフト。写真の管理にも使っています。私の使い方では年間300GBほどストレージを消費。でもまだ満タンにはなっていません。ローカルにオリジナルのバックアップは取っていませんが、書き出したJpegはMacの写真アプリで2重に管理しているので、最悪Adobeサーバーが吹き飛んでも大丈夫。本当はNASでバックアップしたい気持ちはあるものの、なかなかストレージまで予算が回りません。フツーに10万コースですしね。。。
BenQ SW270Cモニター
カラーマネジメントのできる、27インチWQHDのモニターです。プリントする時にモニターと印刷物の色が乖離するのが嫌で買いました。もちろんキャリブレーターもセットで。購入当初は「これでモニターで見た色と完璧にあったプリントができる!」と意気込んでいました。が、どんなに光源やキャリブレーションを調整しても完璧に一致させることは難しいです。沼です。特に光源によって色の見え方が変わるのは本当にやめて欲しい(自然の摂理です)…購入当初は躍起になっていろいろ試行錯誤しましたが、今は「もうそこそこでいーや。」の気持ちでいます。プリンターを買うまでは勝手なイメージでアナログの方が表現できる色域が広い風に思っていました。が、よくよく考えるとプリンターのインクって10色ぐらい。いくら混ぜても1670万色にならないんじゃ…
正直、ぱっと見るならiPadやMacの液晶の方が綺麗ですね。でもLightroomで微妙なパラメータ調整をした時にその変化が掴みやすいのは非常に良い。それに半光沢やマット紙にプリントする際は非常にイメージしやすいですよ。可能なら4K32インチのモデルがおすすめです。
EPSON PX-1V
エプソンのお高いプリンターです。でも真にお高いのはインクのランニングコスト。1色2000円のインクが10本も必要。恐ろしいですね。放置しているとインクが詰まるので、最低2週に1回はプリントするようにしています。インクの影に隠れて目立ちませんが紙も高い。A3ノビだと1枚100円〜1000円ぐらいするものもあります。ミスプリントすると1000円単位でパー。ですが写真が物質化するのは撮影とは異なる楽しさがあります。あとはカメラ、レンズ、モニター、プリンター、インク、用紙…ここまで投資て刷り上がった最終成果物がショボいと目も当てられません。その全てを左右するのは最初の撮影なので、自ずと撮影のモチベーションと緊張感が高まります。ある種の養成ギプスと言えるでしょう。無論、ここまでお金で追い込まなくても良い写真が撮れるのがベストではありますが。写真の才能っていうのはそういう部分が実は大事なのかも。
総評
GFX100Sを使用して1年、購入当初と今で、良いところ/悪いところの印象は変わっていません。1億画素やIBISは一貫して素晴らしいですしダイアルは元々悪い。そういう意味で非常に完成度が高いカメラなのかなと感じました。1年使って印象がブレないのですから。
お値段はアマチュアとしては道楽の域に達しています。レンズも高いですし。ですがしっかりと使いこなせれば見合った写真は撮れると思いますね。残念ながらシステム全体としてラグジュアリーな高級感や官能性はありませんが…あくまで実用品、あくまで良い写真を撮るための道具です。シャッターを切るたびに「撮れた」という確信を与えてくれる道具。プロダクトのコンセプトは知る由もありませんが、このカメラはこれでいいのだろうと思います。
写真を始めた頃は「いかに綺麗な写真を撮るか」が重要でした。しかしGFX100Sを購入してから「いかに写真と楽しく付き合うか」という考えにシフトしています。お金を使うのもレンズではなく「写真活動」全般に変化しています。撮影場所に行く交通費や、プリントの用紙代、写真集や写真エッセイetc...考えの変化はカメラだけではなく年齢や周囲の環境も多いですが。多分この変化は私の写真生活の中で大きな意味があるでしょう。
今は自室の壁に自分のプリントを飾っています。そのうち、自分で撮った一番気に入っている写真と、誰かが撮って素晴らしいと感じるプリント、その2枚を並べて飾りたいなぁと思っています。これを読んでくださったみなさんも、GFXではなくていいので、そう思えるようなカメラやレンズと出会えてもらえたらいいなぁ…そう思っています。
おわり。
番外編
YouTubeでGFXについてトークしました!
写真が趣味でYouTubeでも活動されてる美容師さん(凄いオシャレな枕詞だ)、あめちゃんさんの「沼な人とトークする」企画に参加させて頂きました。文章では伝えられないことも喋っていますので、よければこちらもご参考にどうぞ!