shigiphoto days

FUJIFILM GFXシリーズで撮った写真をつらつらとご紹介。

GF80mmF1.7を1年使ったので長期レビュー

はじめに

GFX100SとGF80mmF1.7を購入したのが2021年の3月頭。丸一年が経過しました。昨年撮影して「残す」と選別した写真3600枚のうち、GF80mmで撮った写真はなんと1600枚でした。半分近くがこのレンズです。ちなみにGF50mmが1100枚、その他がPENTAXやMAMIYAのもの。まぁたくさんレンズを持っているわけではないので、ある程度は純正GFレンズに収束するのは当然。しかしその中でもGF80mmが最も多かったことは事実です。数値で表すと客観的にみることができますね。気に入ってるなぁ。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/8 1/250 80 mm ISO 125

 

が、先日GF110mmを購入し、下取りで放出しました。

我ながらアッサリしているなぁと思います。この1年たくさん使ったのにね。

私はレンズ対して「アガリ」「最愛」「溺愛」等の表現は使いません(実際思ってませんので)。使うレンズってその時々の被写体や考え、気分に大きく左右されます。つまり機材は必ず変動する。その対象に対して「アガリ」「最愛」「溺愛」と言ってしまうと、「え、アガリのレンズ売るの?最愛のレンズもう無いの?こいつの発言薄っぺらくない?」という印象を与えてしまうと思うんですよね。その代わり気に入ったレンズに対して使う表現は「信頼」。自分の撮りたいイメージ通りに仕事してくれて、確実に期待に答えてくれる。この観点からするとGF80mmは私が使ってきた中で最も信頼できるレンズの1本だったと言えるでしょう。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/400 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/3.2 1/250 80 mm ISO 320

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/480 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/160 80 mm ISO 1000

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/250 80 mm ISO 320

 

では何故信頼できるGF80mmを手放すのか?それはGF110mmのことを書く時に取っておこうと思います。ここに書くと文章量多くなっちゃうしね。

(追記。書きました!)

www.shigiphoto.com

ただしGF80mmが嫌になったという事は全く無く、所有レンズのラインナップ的に手放した、というのが大きいところです。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/8 1/4000 80 mm ISO 100

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/8 1/280 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/280 80 mm ISO 200

 

折角信頼して使っていたので、その記録と感想をまとめておこうと思い、今回の記事を作成した次第です。ちなみに購入してすぐの頃のレビューはこちら。

www.shigiphoto.com

 

各種レビュー

ではここから1年使って感じたことを書いていきます。ここに書いていない事は気にすらしていないか、書く必要もないほどちゃんとしている、ということだと思ってください。

質感

この1年、厳しい条件でも遠慮せずに使用してきました。雨の中、強風の海辺、真夏の炎天下。1年使って明確に劣化した場所はありません。総じて良い質感を保っています。マウント部のシーリングがダメになっている感じもなく安心。

私の嫌いなフジレンズの絞りリングスカスカ問題もこのレンズはかなり頑張っています。新品時からの質感劣化も最小、回した時のヌメっとした感触は落ちていませんし、狙ったF値にスッと止めることができます。旧型のレンズも全部この感じにバージョンアップするプログラムが欲しいぐらい。

レンズを覗くと大きなガラスと目が合って嬉しくなります。ただし、フードの作りはプラスチッキーでレンズと釣り合いは取れていない感じ。まぁぶつかった時の衝撃吸収等を考えてのことでしょう。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/170 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/210 80 mm ISO 100

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/320 80 mm ISO 100

解像

素晴らしいです。絞り開放でも中心部は完璧ですし、絞って遠景を撮るともう画面の隅から隅までオーラを放つかの如き描写です。GF単焦点レンズここにあり!といった感じ(褒める項目は書くこと無いですね)。ついでに発色やヌケも素晴らしいので風景撮影にはもってこいのレンズです。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/8 4 秒 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/5.6 1/680 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/4 1/60 80 mm ISO 320

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/3500 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/4 1/2200 80 mm ISO 100

ボケ

見る人使う人によって印象は変わりそうです。フルサイズ機でF値の小さなレンズ使っているからからすると「中判?意外とボケないね」でしょうし、そうで無い方からは「凄い立体感!」だと思います。まぁ上の中ぐらい…ってことかな。唯一無二ではありません。非球面レンズは1枚使われていますが、年輪ボケは感じません。画角周辺のボケはレモン型。この辺りは個人の好みかなぁと思います。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/60 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/550 80 mm ISO 100

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/60 80 mm ISO 320

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/160 80 mm ISO 320

収差

絞り開放でのフリンジが凄いです。見事ですよ。私はフリンジは結構好きなぐらいなので気になりませんが、ここをマイナスに感じる方は多いでしょうね。あと、中距離辺り?で2線ボケがザワッと出ます。木や葉っぱといった自然対象で顕著です。これは結構ネックでした。前ボケも背景も綺麗なのに、中途半端な部分が汚くなります。構図を変えて工夫しないといけません。GF80mmは基本的に完璧なので、この辺の収差はレンズ設計的に難しいところなのだと思いますが。。。

購入初期にフリンジに気づいた時の1枚。前にマゼンタ後ろにシアンでびっくりしました。それまでのレンズは出てもどちらか片方だけでしたので。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/3500 80 mm ISO 200

このフリンジは好きなパターンです。使い古したフライパンから滲み出たオーラみたいに見えませんか?

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/30 80 mm ISO 800

2線ボケの例。本当はもっと酷いのもたくさんあったはずが、全部消しちゃってました。バイクの上側がうーんって感じ。必死に緑の前ボケで誤魔化そうとしてますね。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2.8 1/160 80 mm ISO 400

わかりやすい2線ボケ。まぁこのシチュエーションではどんなレンズでも厳しいのかもですが。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2.8 1/250 80 mm ISO 160

遠景を分離させてあげれば綺麗にボケます。正確な理由は思い出せませんが、F2に絞ってるのは開放での何らかの収差を嫌ってのことだったのかも。。。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/3500 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/420 80 mm ISO 200

AF

このレンズ最大のウィークポイントでしょう。方々で遅い遅い言われてます。明るいレンズなので自然とフォーカス群も大きく、結果AFが遅くなるのは仕方ないと思います。LMではなくDCを使っているところから、相当重いことが想像できますね。が、速度が遅くても被写体次第、私の様に風景撮影なら実害はありません。ですが個人的に嫌だったのは遅さに一貫性がないこと。動き出すまでが遅く、動き出したらそこそこ速い、という特性なのです。レリーズタイムラグならぬAFタイムラグとでも言いましょうか。シャッター半押しやAF-ONボタンを押してからAF駆動が始まるまでに一瞬ラグがあり「あれ押せてない?」と思っちゃうんですよね。ただしその特性を理解して使えば、落ち着きなく動く子供も工夫次第では結構撮れますよ。

(AFがダメで失敗した写真も全部消していて良い例がないのでご飯写真を貼ります)

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/4 1/60 80 mm ISO 320

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/220 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/250 80 mm ISO 1600

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/640 80 mm ISO 200

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/80 80 mm ISO 200

 

総評

ここまでで触れていませんでしたが、このレンズの65mmという焦点距離は絶妙です。正確には「中望遠域が好きな人間にとっての標準レンズとして」ですが。私の中で標準レンズと呼べる焦点距離は40mm-65mmまで。50mmだとちょっと(狭さが)物足りないと感じる方には65mm、とてもおすすめです。逆に35mm以下の広角域が好きな方、135mm以上の望遠域が好きな方には中途半端で意味不明でしょう。標準域のレンズを1本だけ持つなら断然このレンズだと思います。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2 1/320 80 mm ISO 100

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/1.7 1/900 80 mm ISO 100

 

また、今までフジフィルムが作ったレンズの中では最も絞りリングの質感がマトモ、ギリギリ座ったまま食事の撮影ができる最短撮影距離と最大撮影倍率、絶対的には重いですが相対的には軽い、明るさは正義…等々おすすめできる要素はたくさんあります。逆に絶対的なAF速度(精度は高いよ)が必要な方には全くマッチしません。どのレンズもそうですが、自分の撮影スタイルとレンズの特性をしっかり吟味して購入する必要があるでしょう。絶対数は多くないと思いますが、悩めるGFレンズユーザーの方の参考になれば幸いです。

FUJIFILM GFX100S, GF80mm F1.7R WR, ƒ/2.8 1/950 80 mm ISO 200