前3回はグリーンエコー笠形の総合案内所から歩き出し、雪にはしゃぎながら扁妙の滝に到達したところまでをご紹介しました。今回は滝の近辺で撮った氷のマクロ写真です。私は風景から街中スナップまで、そこそこ色んなジャンルの写真を撮ると思っていますが、その中でも一番好きなのは風景。その中でも自然科学な写真が特に気持ちいいのです。こういう氷とか、天体写真とかですね。
今回の氷柱写真はどれも私の好みドストライク。このために三脚とマクロレンズとアルカスイスのプレートを背負って山を登り、水飛沫を浴びながら撮影したんだ!という写真に仕上がりました。うれしやうれしや。
絞りは全てF8です。F11より若干解像力が高い気がしています。しかしピントを少し外すとフリンジが発生するので、ピント合わせはかなりシビア。
氷の模様は層になっています。なのでピント合わせ中に拡大表示で観察すると、ピント送りで模様がどんどん変わるんですね。万華鏡のイメージです。表面が一番ピシッと見える反面、少し氷の中の方が模様が面白かったり。どこに合わせるか?を探すのも楽しいものです。
今回の写真は純粋な「氷っぽさ」を追求したかったので、現像の試行錯誤が大変でした。コントラストを付けたACROSロがいいかな?と最初は思ったのですが、なんだか嘘くさくなって却下。風景撮影で多様するVelviaはギトギトしてクドイです。結局、普段はあまり使わないエテルナブリーチバイパスを使い、露出と色温度を調整して今回の仕上がりとなりました。
そういえば少し前に「持ち出すカメラは1台がいい。レンズも1本。沢山用意しても結局使わないし、無理やり使っても撮影のテンポが崩れちゃう」という話を見ました。この意見をお持ちの方は、恐らくスナップがメインで写真撮影という行為そのものが好きなのでしょうね。
ですが私は逆の意見です。機材を渋った結果「ああ、あれが無かったから撮れなかった」が絶対嫌なので、可能性があればできるだけ持ち出す様にしています。いいなと思った被写体を、自分の持つベストの技術と機材で乾坤一擲の写真を撮りたい。なので予備は絶対に必要ですしチェックも怠ってはいけません。何かをサボると必ず自分に「撮れない」という最悪の結果で跳ね返ってきます。特に天体撮影で何度絶望したことか…
この撮影にはGFX100S、GF32-64mm、smcPENTAX-FA645 120mmF4Macro、KALLOFLEX、三脚2本を撮影機材として持って行きました。平日デスクワーカーには堪える重さ。それを頑張って滝まで運んだのにも関わらず、フィルム用の機材は取り出すこと無く1日を終えました。でもいいんです。滝の前に立ってフィルムで撮りたい!と思ってしまった時にカメラが無いよりは、GFXで思いっきり撮影を楽しみ、フィルムカメラを出すのが面倒になるぐらいが後腐れありません。
話が長くなりました。「写真」って1つのジャンルに感じますが、そのアプローチ(沼り方)は超多様。その写真趣味の中で自分はどう楽しむのか?ということを自覚&納得できれば、末長く遊べると思います。自分もそうありたいですし、長く深く写真を楽しむ人が増えたらいいなぁ。