はじめに
宮崎光学のレンズを買いました。SONNETAR 1.5/73です。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/750 F1.4 ISO200
昔から宮崎光学のレンズは気になっていました。個人で設計から開発、製造、販売まで一貫して行っているというすごいメーカーなのです。GFXを使っていた頃は縁がなかったのですが、M型ライカに乗り換えたことで「宮崎光学を選択肢に含められる」世界の一員になれました。MマウントやEマウントの選択肢の多さってすごいな、としみじみ感じる今日この頃です。
出会い
SONNETAR 1.5/73を購入する前に気になっていたのはCarl Zeiss Tele-Tessar 4/85 ZMです。幸いなことに友人からお借りすることができ、じっくり試用していたのですが、85mmという焦点距離がどうも馴染まない。昔から苦手なんですよねー85mm。GF110mmもXF56mmも(フルサイズ換算87mm相当)同じ理由で手放しました。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/180 F4.0 ISO200
他にもM-Rokkor 90mmやApo-Skopar 90mmも検討しましたが、冷静に考えると私が求めているのは85mmを起点に狭い方の90mmではなく広い方の75mmだと気づきました。しかしMマウントの75mmは選択肢が少ないですね。現行品に絞るとVoigtlander NOKTON Vintage Line 75mm F1.5かThypoch Simera 75mm f/1.4ぐらいです。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/3000 F3.4 ISO200
そして、焦点距離とは別の欲求がありました。とにかく鏡筒が薄くて、レンズのきわいっぱいまでガラスが詰まっているレンズが欲しい。 こっそりSummarit 5cm F1.5やJupiter-3 50mm F1.5なんかを調べていましたが、50mmではないんですよねぇ。この辺のワガママ具合は完全に個人の感覚なので上手く説明できませんが。。。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/250 F1.4 ISO200
そんなとき宮崎光学のインスタでSONNETAR 73mmが再販されているのを発見…こんなに条件に合致するレンズが都合よく現れることある?と、正直たじろぎました。再販告知は2025年の11月末。流石に売り切れだろうと思いつつもダメ元で問い合わせてみると…まだ在庫あるとのこと!嬉しい!そこからの行動は素早く、再販を知って5日後には小さなレンズが手元に届いたのです。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F3.4 ISO200
Pick Up
復刻再販版から、最短撮影距離が0.8mになったそうです。重量197g、全長56mm、レンズ径50Φ、開放F1.5、焦点距離73mm、最短撮影距離0.8mのレンズということですね。
また、購入は公式オンラインショップではなく、メールでのやりとりのみです
2026/01/16時点では在庫あり
www.instagram.com
絞りF2、最短で撮影したお抹茶。絞り開放にすると球面収差は若干増えますが、中心部の解像力はあまり変わらない印象です。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.4 ISO800
検討時の思考
重量とサイズ
宮崎光学レンズの強みですが、私にとってはあまり重要ではありません。使いたいレンズなら1キロでも2キロでも使えるように自分がアジャストするべき、という考えです。
操作性
軽量コンパクトを実現するためにスポイルされているという前情報はありました。しかし「鏡筒が薄く求める焦点距離」を満たすレンズを使うためなら、気にならないだろうと。
F1.5というスペック
鏡筒が薄い=レンズがいっぱい=F値が小さい。これは物理的にそうなりますよね。で、F値が小さいレンズはボケが大きい&合焦部分からボケへの変化が急激になりがちで、あまり好みではないんです。ここだけが心配でした。絞って使えばいいと分かってはいるものの、開放値が明るいのに使わなくても平気、という境地には至れておりません。修行が足りない未熟者です。
ファーストインプレッション
届いてびっくり。レンズ本体がめちゃめちゃ小さい!
1.4/50と1.5/73 pic.twitter.com/B7X54EsVlK
— shigitoki (@shiginununu) 2026年1月21日
箱も小さい。レンズフード短い。鏡筒薄い!嬉しい!レンズフードも薄い!
そんなことは事前の調査で分かり切っていたこと…ですが、やはり自分の手で持って確かめると想像とは全然違います。実物のインパクトは想像以上でした。この点を重要視する方には本当に嬉しいポイントだと思います。
そして最も重要視していた鏡筒の薄さとガラスの詰まり具合は…期待通りでした。最高!!!
この鏡筒の薄さ…たまらない!ニッコリ☺️ https://t.co/VGGaBPaIhh pic.twitter.com/zr3ouYeIvI
— shigitoki (@shiginununu) 2026年1月20日
描写
購入後数日間は喜び勇んでテストがてら色々撮り歩いていました。ここではその感想をば。
絞り開放F1.5
絞り開放から大変緻密で美しい描写です。静謐、清楚。でも線が細いイメージではない。擬人化すると「自己肯定感は高く、気配りできるタイプの繊細さ」でしょうか。頼りなさや幸薄さは感じません。F1.5の描写に自信を感じました。これに比べると、COLOR-SKOPAR 50/2.2は同じ様に解像力は(より)高くいものの、その質は力強いものだったのだな、と思います。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/1500 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/250 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/250 F1.4 ISO200
宮崎光学のレンズは開放で軟調、球面収差を意図的に残しているものが多い印象ですが、SONNETARは解像と収差のバランスが大変よろしい。やわやわではないんです。
ただし、強い光源は大敵です。全く粘らずスパーンと飛び、描写も暴れコントラストはガタ落ちするので要注意。レンズフードは必須です。しかし純正フードは軽さコンパクトさに全振りしているので役不足。有害光を確実にカットし、レンズの力を引き出せる別のフードが必要ですね。
F4まで絞ると
極めて現代的な描写に変貌します。Tele-Tessar 4/85よりもキレる。すごい。画素数の多いセンサーでどういう描写になるのか、ちょっと気になりますね。そして、ここでも絞り開放で感じた緻密さは健在です。力強いというよりは繊細な美しい描写です。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/2000 F4.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F2.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/750 F4.8 ISO200
少し注意が必要なのは遠景の撮影です。私の個体は絞り開放で無限遠にピントが合いません。完全に被写界深度内に入るのはF4まで絞ってから。ただしこれはレンズの不具合ではなく、レンズ構成やコマ収差設定(レンズ後ろ側で調整可能)の兼ね合いによるものだと思います。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/750 F4.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F4.0 ISO200
使い勝手
正直に言うとよくはありません(笑)。ネットの前情報通りです。(AIの普及でこういう貴重な生の声って減りましたよね。。。)
- 絞りにクリック感がない
- ヘリコイドと絞りリングが同軸=どちらかを回すと反対も回る
この2つの特性が影響し、手抜きをすると確実にピントを外します。撮影時の絞り&ピントを確認は必須。ちょっとしたことで、触ったつもりはなくとも、気づいたらヘリコイドが微妙に回っているんですよね。。。
しかしこの点は事前に想定していた範囲内なので、私の場合はネガティブに感じていません。丁寧な撮影を心がけよう、と気をつけています。
レンジファインダーでの距離合わせ
見やすい被写体・絞り開放・撮影距離1〜3m=バッチリ。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/1000 F2.8 ISO200
レンズ後ろ側のコマ収差補正設定は「3」です。前情報ではRFとの合焦位置ズレがあるとかないとか…少なくとも私の個体は完璧でした。このレンズの得意な範囲は自信を持って合わせられるので、気持ちよく使えています。
半面、被写体との距離が5mを越える&見にくい場合は全然ダメ。前ピン後ろピンどちらも経験しました。祈りながら撮ることになります。
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F1.4 ISO640
でもこれはレンズのせいではなくレンジファインダーの限界ではないかと。M Typ240の場合、LVを使うとレリーズタイムラグが大きすぎてブレるので、RFで死ぬ気で合わせる必要があります。練習あるのみ。1.35倍、1.4倍のマグニファイアーを使ってみましたが、合焦率は大きく変わりませんでした。
試写写真たち
平日の昼休みと帰り道、休日の伏見稲荷大社、有休のお伊勢遠足で使い込みました。ここではその写真をご紹介します。
平日写真
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F2.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F4.0 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/350 F4.0 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/180 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/180 F2.0 ISO1250
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F1.4 ISO1250
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/750 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F1.4 ISO250
伏見稲荷大社
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/1000 F2.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/500 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/250 F4.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.4 ISO640
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/3000 F3.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/3000 F2.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/4000 F1.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/750 F4.8 ISO200
お伊勢参り遠足
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/350 F2.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.4 ISO250
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/250 F2.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.4 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/1000 F2.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/500 F2.0 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/1500 F2.8 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/3000 F2.0 ISO200
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/180 F2.0 ISO250
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/125 F2.0 ISO250
LEICA M (Typ 240) + SONNETAR 1.5/73, 1/500 F5.6 ISO200
おわりに
GFXからM Typ240に乗り換えた際の記事で私は以下の様に書きました。
M typ240は「情報を記録ポイントが良い・巧み」なのです。絵作りが巧いと言えばいいのでしょうか。人間が心地よく、階調や立体感を豊かに感じるポイントが分かっていて、的確にそのポイントを狙って記録している感があります。また、組み合わせるレンズの選択肢も多いので絵作りのバリエーションも豊か。
今回購入したSONNETAR 1.5/73は、「M Typ240は情報記録ポイントが巧い」という特性に非常に合致しているレンズでした。もちろんそこを狙っての入手なので、思った通りで良かった…と胸を撫で下ろす心持ちです(笑
操作性に癖があり、強い光源にも弱い。でも、鏡筒ギリギリまでガラスが詰まった73mmという唯一無二のレンズで、ボディとの相性もGood。このレンズを新品で入手できたのは幸いでした。28mmのビオゴン、50mmのカラスコ、73mmのゾンネタール、楽しいレンズが揃ったと思います。嬉しいなぁ!