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FUJIFILM GFXシリーズで撮った写真をつらつらとご紹介。

GFX100Sを1ヶ月使ったのでセカンドレビュー

タイトルの通り購入して4週間ほど経ちました。購入当初の驚きや感動は余韻こそあるものの、良い部分悪い部分といった特性や使い方が客観的に分かってきたのでセカンドレビューをしようと思います。写真と文章に関連性はありません。購入から撮ってきた写真の中で気に入ったものを貼っています。

 

はじめに

まずこのレビューを書いている私の立ち位置をご説明しておきます。「こういう人間が評しているんだ」という前提が明確になっていればよりご参考になると思いますので。

私は熱心なFUJIFILMユーザーと言えるでしょう。X-E1から使い始めて8,9年ほどずっとフジ機を使い続けています。ボディを変えレンズを売り買いし、今やGFXを購入するまで育ってしまいました。自分でもまさかこんな事になるとは思ってもいませんでした…

 

話が逸れました。上に書いた通り他社製のミラーレス、一眼レフカメラはほぼ使ってきていません。直近のカメラはGFX50R。なのでインテリジェントでスーパー性能なカメラは知らず、定量的な「性能」面に対する要求は低いと思われます。ついでに、好きなファインダー形式は、素通し>EVF>RF>ファインダー無し>一眼レフ、の順です。どうも一眼レフのファインダーは濁ってる様に感じて好きではないのです。お高いモデルに明るいレンズのセットを覗いたこともあるのですが…感動はありませんでした。

 

こうして書いているとFUJIFILMの大ファンみたいに思えてきますが、そんな事はありません。FUJIFILM好き好き大好き愛してる、なんでもかんでもサイコーサイキョー☆とは全く思えません。フジ機から生み出される写真は素晴らしいですが、同時に使っていて「ハァ!?×××△△△□□□!!!」と罵りたくなる様な経験も多々ありました。腹立つことも多いけれどそれを補って余りある魅力を持っている、それがフジ機なのだと思います。

 

非常に良いところ

前書きが長くなりました。ここからがレビュー本番です。

このカメラの非常に良いところは嬉しい事に沢山あります。「富士フイルムがGFX100SのHPでPRしている点」は多くの方が満足できるポイントでしょう。ピックアップするなら1億画素の表現力、強力な手振れ補正、他社フルサイズ機に迫るサイズ由来の機動力…この辺りはHPの内容に偽り無し、他社製品を使っている方でも評価できると思います。

 

難しいところ

ラージフォーマット1億画素という性質、これに尽きます。正直購入までは「1億って5000万の倍なだけでしょ?GFX50Rで特に不便感じなかったから手振れ補正付いたGFX100Sならヨユーヨユー」と思っていました。しかしこれは全くの思い違いでした。1億画素はピントを合わせるという点において非常にシビアです。特にGF80mmF1.7を絞り開放で使うと被写界深度の薄さからピントを外す事が多い。手振れ被写体ブレAF外し…諸々の小さな原因が大きく影響します。カメラのLCDで等倍拡大しても気づけない程の微ブレが発生してるんですよね。1億画素だとそれに気づいちゃう。微ブレした写真は画素数が1/4ぐらいに下がった様な感じです。パッと見問題ないものの拡大するとなんとなーく甘い。あれれ?と思って同じ構図の別写真(ガチピン)を見るとその精細さにビックリします。

なんとなく手振れ補正があれば撮影はお手軽お気楽…というイメージを持っていましたが、少なくともGFX100Sに関してはそうではなく、考えを改めることになりましたね。ただし手振れ補正が役立たずと言うわけではありません。手ぶれ補正のおかげで雨の日に傘を差しながら片手で構えてファインダーと2点留めにして撮る、薄暗い森の中で低感度で撮る、なんて芸当が可能です。お手軽に撮影をするための機構ではなく、撮影可能なシチュエーションを押し広げるものなんでしょうね。

 

予想外に改良されたところ

HPではPRしてないけれど、以下の項目は昔からのフジユーザーとして嬉しい改良点です。痒いところに手が届く内容と言えるでしょう。他社製品では当然なのかもしれませんが…

  1. メニューの選択位置が記憶される
  2. チルト状態でアイセンサーがOFFになる
  3. マウントアダプター設定にレンズ名が設定できる
  4. ジョイスティックの操作性

個人的にどれも「よくぞ!」と思える内容です。特にジョイスティックは物理的な改良点で、他モデルに対する明確な優位点ですね。太くなり、入力に対する反発力が増して使いやすくなりました。これまでは細く、反発はスカスカで頼りない感じだったんですよね(グリコのオマケクオリティ)。ただ、使い初めはちょっと硬い感触でした。しばらく使うとちょど良い塩梅になったので慣らしが必要なのかもしれません。

 

特に不満に感じていない点

  • EVFの解像度
  • バッテリーの持ち
  • 重量
  • AF速度/精度 

この辺りの項目は特に不満を感じていません。しかしこれは私の要求仕様のレベルが低いから。「MFに比べれば自動でピント合わせしてくれるAFはありがたい」「1日に写真たくさん撮り過ぎると後でしんどいのでバッテリー切れまで写真は撮らない」といった風に考えているんですよね。他社製カメラを使用されている方は不満に思うこともあるでしょう。

 

私には合わなかった点

「グリップが大きい」です。私は男性としては手が小さいので世間的に評価される「グリップが大きくて持ちやすい」「グリップが小さくて小指が余る(から嫌)」という意見には全く賛同できません。グリップが大きいカメラは主張が激しくて鬱陶しい…ぐらいに感じています。しかし、少数派ということは理解しているのでグリップサイズに文句はありません。で、私の手のサイズには合わないGFX100Sのグリップですが、4週間使った今、実は気に入っています。それは中指用の窪みと親指脇の突起に指を引っ掛けるように持つといい塩梅、ということが分かったから。狙った設計ではないと思いますが、手の小さいユーザーでも適応出来る良いグリップなのでは?と思っています。2,3時間GF80mmでスナップしても手の疲れは感じませんでした。

写真は特別手の大きな友人との比較。大人と子供ぐらいの差がありますね…ちなみに私はAF-ONボタンは使いません。親指が全然届かないのです。

 

非常に悪いところ

  1. コネクタカバーがペラペラ
  2. EVFの色合いがおかしい

この2点は本当にどうしようもないです。汚い言葉で表現することをお許しください。控えめに言ってクソです。何故ここまで口汚く罵倒するのか、これは単純に上の2点に対して憤っているわけではなく、カメラの各部位の仕様に齟齬があるからです。整合性が取れていないんですよね。

 

GFX100Sはバッテリーチャージャーが同梱されていません。代わりにUSB Type-Cで本体充電できる様になっています。これは素晴らしい進歩。メーカーから「Type-Cで充電できるからチャージャーイラナイデショ?」という声が聞こえてきそうです。しかし、ならばコネクタカバーがペラペラでバッテリー室の蓋はしっかり作られているのは解せません。耐久性がイマイチ信用できないカバーを頻繁に開け閉めしないといけないのは怖いですよ。何かの拍子にプチッとちぎれたら?防塵防滴の性能が下がったら?家でこのカメラ充電したことあるの?と言いたくなります。そうえいば純正のアンダープレートを装着するとバッテリーカバーに蓋がされてしまうそうですね…

 

次にEVFの色合いについて。以前のレビューでも指摘した項目です。EVFLCDで色合いが全く違います。カメラ設定でEVFの色合いは調整できますが、フィルムシミュレーションによって違いの度合いも変わります。PROVIAで調整するとクラシックネガでは合いません。

この傾向は少なくとも私が最初に購入したフジ機であるX-E1の頃からずーっと引きずっている弱点です。EVFLCDの差はフィルムシミュレーションが違うのでは?と思うぐらい違っています。色を売りにしているのに、カメラの表示する色はちぐはぐ。ユーザーはどの色を信じていいのか分からない。しかもこの現象は何年も放置されたまま。これは酷い。メーカーの怠慢でしょう。

 

かなり批判的内容になってしまいました。ただし、GFX100Sにはとても満足していますし信頼もしています。だからこそ1つのカメラに良い部分と信じられない酷い部分が同梱されているのは嫌なんですよ。

富士フイルムのカメラはそこそこ売れている様ですし、ネット上では好き好き大好き最高すぎる!というレビューが目につきます。しかし私はあまり富士フイルムのカメラはお勧めしません。良い部分は確かに良い、でも悪い部分もしっかりあるので、理解しておかないと盲目的に褒めちぎる or 即嫌になって手放す…という極端な事になる気がします。

 

素数について

私はX-H1→GFX50R→GFX100Sとステップアップしてきました。GFX50Rを使っている時、画素数はいくらあっても良いと言いつつも5000万画素で必要十分と考えていたのですが、これは少し間違いでしたね。5000と1億はまた別世界です。5000万画素で満足はしていましたが必要十分ではありませんでした。まだまだ必要でした。「満足」は自分の置かれた状況だけでも判断できますが、「必要十分」は最高性能までを体感した上で、どのラインが該当するのか初めて分かることなんですね。もちろんライン引きは人それぞれです。私の場合は等倍表示した時の美しさに1人で気持ちよくなりたい、というタイプなので画素数は正義です。

こちらのエビフライの等倍画像は気持ちいいですよ。

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ノスタルジックネガについて

こちらは別記事に気づきを書いたのでよければご覧ください。

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おわりに

この記事、本当は2週間使った時点で作成するつもりでした。しかし思った事を上手く文章化するのに時間が掛かり、時間経過とともに感想も少しづつ変化するので内容の整合性を保つのに苦労しました。

 

GFX100Sというカメラは極端な良い点悪い点、清濁併せ持つピーキーなカメラと言えるでしょう。まぁ私がわざわざ書く事でもなく「1億画素の中判デジタル」というだけで想像は難しくないと思いますが。1ヶ月使って目立つポイント以外も見えてきた状態でもこの感想は変わりませんでした。なのでこのカメラは万人受けはしないでしょう。

 

しかし、FUJIFILMが画策しているであろう中判デジタルユーザーの増加、フルサイズユーザーからの取り込みの足掛かりにはなると思います。圧倒的な高画質が欲しい、どんな写真でも最高画質を目指したい、その為に苦労は惜しまないという方にはオススメできるカメラです。逆に他社製カメラに満足はしているけれど、プラスアルファで画質を向上させたい、という方には向かないと思います。画質を得る代わりに確実に多くの何かを失います。そのトレードオフをしっかり見極められれば、どんな形であれ満足な結果を得られると思います。