はじめに
先日のX Summit STHLM 2023で発表されたGFX100 IIとGF55mmF1.7 R WR、こちらを富士フイルムイメージングプラザ大阪でタッチ&トライしてきました。トータル30分ほどだったので「少しだけ」なんですけどね。今回はその感想をいろいろ述べようと思います。
富士フイルムイメージングプラザ大阪
X Summitの翌日にTELして新型のGFX100 II触れますか?と確認したところ
・試作機は店頭にあります
・来店予約が必要なGFXトライアルの対象ではありません
とのことでした。朝イチで飛び込めば触れるってことか!と理解して土曜の朝開店と同時に訪問した次第です。予想は大当たり。全く待たずに実機を触ることが出来ましたし、なんなら私が滞在している間はGFX目当てのお客さんは皆無でした。ニッチな世界を感じましたね(笑
そのおかげでジックリ試せましたし、GF55mmを私のGFX100Sに装着して店内もバシバシ撮らせてもらえました。おかげで大まかな性格は掴むことができましたよ!
GFX100 II
こちらは撮影データはないので「感想」を述べようと思います。ひたすら文章が長いだけなので、写真が見たい方はGF55mm編へどうぞ。
レビューできない点
まずお断りとして、トータル30分・店内のみの撮影・GFX100 IIの撮影データは持ち帰っていない、という限られた条件のため以下項目はレビューできません。その点はご了承下さい。まぁ正直ここに挙げた項目は新型の目玉ばかりなので、性能面では私の100Sとの違いは感じられませんでした。REALA ACEも店内で生物撮るだけではサッパリ。ここは残念な気持ちですが仕方ありません。
- REALA ACE
- 画質全般
- 動画機能全般
- AF性能全般
- 連写性能
- IBIS性能
魅力だった点
視野率100%の944万ドットEVF
これはボディで最も感銘を受けた部分。陳腐な表現ですがEVFを覗くと広くて立体的な世界が広がっていました。さらにGF55mmと組み合わせると世界が現実より数段美しく見えます。これまでの富士フイルムのEVFの中では飛び抜けた存在でした。すぐに覗き比べた訳ではありませんが、個人的にはNikon Z9と同等に感じましたね。(ちなみに私は一眼レフのOVFよりEVFの方が好きなタイプです。その辺を加味して読んでいただければと)
シャッターフィール
GFX100Sのシャッターフィールはとても気に入っています。大きなフォーカルプレーンシャッターを極力静粛に受け止め、その残滓がフィーリングとして手に伝わってくる…といった具合。100 IIも似た感じかな、と思っていましたが少し違いました。X-H1を起点とするフェザータッチシャッターの路線は引き継ぎつつ、その中に少し小気味良があります。X-H1とX-T2のシャッター(「コトン」という小気味よさが好みでした)を混ぜた感じ…です。撮影テンポが良くなりそうです。
剛性・BISHAMON-TEX
X-H2Sから非常に良くなった剛性。GFX100 IIも当然しっかりした持ち味で「これは良い物だ」感があります。合わせてBISHAMON-TEXの効果かグリップはするのにサラッとしていて、夏場でも快適そうでした。100Sのグリップはしっとりしていて悪くないのですが、夏場はちょっと手汗がね。。。あとBISHAMON-TEXは普通にカッコよかったです。今後のGFXのスタンダードになったら嬉しいな。
軍幹部の傾斜デザイン
写真で見るより傾斜は緩いです。単体で見たら気づかないかも。でも天面は圧倒的に見やすくなっていて、サブ液晶をよく見る方なら恩恵は大きいと思います。あとシュッとしていてカッコ良かったです。
3連Fnボタン
写真で見たときは「ん?」と思いましたが、自然に指が届く位置にあり、目で見ずとも指先の感触だけで使い分けられるボタンでした。マウント横のFnボタンも2つに増えていて、自由にカスタマイズできるボタンが沢山あるのは羨ましかったです。
下方向へのチルト角度の増加
GFX100 Ⅱのリーク情報で冷却ファン「FAN-001」が装着可能!と見たときは、バリアングルモニターになってしまうのか?と失望しました(私は動画撮影しないのでチルト液晶過激派です)。本発表を見てチルトだったので安心した訳ですが。じゃぁどうやって冷却ファン付けるの?と思っていたのですが、単純に下方向のチルト角が大きくなっていたんですね。80度ぐらいだったと思います。動画は撮りませんが、スチルで撮影する際にも便利そうで良い変化だと思いました。
正直微妙だった点
さてここからは褒められない点です。まず前提として私の頭の大半は「価格はオープン。店頭予想価格は税込127万500円前後」という情報で埋め尽くされています。ただの庶民なので購入するとなると相当無理が必要。その無理に見合った製品なのか?という視点が強いのです。ご了承下さい。
ダイヤルの感触
過去、富士フイルム製品で褒めたことが無いパーツです。相変わらず親指ダイヤルの感触はチープ。回しにくいのに回り出すと1クリックで止められないダイヤルです。10万のカメラじゃないんだよ?127万だよ?なのに官能性のカケラもないただ回っているだけのダイヤルってどゆこと!という叫び出しそうなのをなんとか堪えました。流石に自慢げな店員さんの前でそんな事は言えません。ちなみに前ダイヤルは少し感触が異なり、そちらは小マシでした。どうして。
記録メディア室の蓋
こちらも激萎えポイント。メディア室の蓋がペコペコしてました。指で押すとグニグニ動きます。右手でグリップを掴むと指の付け根辺りでグニグニ動いて不快です。「魅力」で剛性を挙げましたが、この良さを完璧に無下にしており最低最悪。流石にこれは…と思って指摘すると店員さんも「これはちょっと。。。」というお言葉。その場は「試作機だから」という理由でお茶を濁しました。正規の製品版で改善されていることを願うばかりです。
その他徒然
センサーとプロセッサーの変更由来の高速性、こちらは全く体感出来ませんでした。電源ONからの起動が爆速になったわけでもなく、GF35-70mmのAFが体感で速くなることもありませんでした。お店の方曰く総合的なレスポンスはX-H2やX-T5と同じくらい、だそうです。この辺はスポーツ撮影や動画撮影でないと実感が難しいのでしょうね。私ではレビュー出来ない部分につきご容赦下さい。
ねぇ買うの?買うの?
買いません!買えません!
EVFとシャッターフィールだけで相当欲しくなりました。しかしそれだけで大枚叩く程夢中にさせてくれなかったのも事実。あと私の使い方の場合、高速系や動画に関する機能はオーバースペックです。100Sでも動画はトータル10分も撮ってないですし。正直めちゃめちゃ心躍る仕上がりでなかった事に安堵しています。これなら数年後に値段がこなれたら中古で100Sから買い替えるかー、とか、100S Ⅱに期待!と言えそうです。ヤレヤレヨカッタ。
GF55mmF1.7 R WR
大本命のGF55mm。これが気に入ればGF110、GF50mm、GF35-70mmと入れ替える予定でタッチ&トライに挑みました。ここまで文章が長かったのでまずは100Sと組み合わせて撮った写真をどうぞ。
総評
いきなり総評です(ちょっとボディ編で息切れ…)。これは良くも悪くもGF80mmF1.7の兄弟レンズでした。光学面も機械面も非常に特性が似ています。背格好や重量も似ています。撮影中にEVF覗きながら撮れる写真を想像して気持ちよくなれる、という点も同じ(油断すると気持ちの悪い声が出そうになります)。
まず光学面では、驚異的な解像・クリアな描写・破綻しないシャドウとハイライト、こういった点からGF単焦点レンズらしい凄みのある写真が撮れます。何を撮っても気持ちいい。最早撮らなくても気持ちいい。凄いレンズです。GF80mmとは、焦点距離が換算65mmか45mmか、という違いぐらいしか感じませんでした。ただ1点、GF80mmの絞り開放で発生する強烈なフリンジ、これがGF55mmでどうなるか?は試せませんでした。発生する条件に出来なかったのか、抑えられているから気にならなかったのか、判断できません。なんにせよ素晴らしい。安心のGF単焦点レンズです。
次に機械面。私がGF80mmに不満に思っていたのはAF性能です。精度は良いのですがDCモーターで3枚ものレンズをヨイショ!と動かすため、AF駆動時に一瞬のタメ=ラグがあります。これがAF-Cでは致命的で歩いている人を狙っても「ウォッウォンウォンウォッウォ!!!」とモーターがタコ踊りして未来永劫合焦しません(ちなみに
AF-Sは優秀なので歩いてる人にもしっかり合焦します)。DCモーターの駆動も力任せで、同レンズを所有している友人は「電動ドリル」と表現していました。
さてではGF55mmはどうか?AF駆動はDCモーターでフォーカス時に動くレンズは脅威の8枚。増えてる。しかし富士フイルムも一応気を使ったのか内部にベアリングを配置し、静粛性には配慮したとこのと。結果は…
ダメです!AF-Cのタコ踊りも電動ドリルも解消していませんでした!
ああやっぱりダメだった。。。一応フォローしておくと、ベアリングの恩恵は感じることができました。モーターが止まるタイミング、AF合焦する際の感触が滑らかになっています。「ガッ」と止まらず「シュッ」っとした感触でした。ただ動いている間はガリガリというか、ビビビビ!というか、そんな振動がするんですけどね。ちなみにこの挙動はGFX100SでもGFX100 Ⅱでも全く同じ。新型のフラグシップボディでも逃れられません。残念無念。
ねぇ買うの?買うの?
(今は)買いません!
GF55mが静粛なAF駆動とGF110mm並みのAF-C性能があれば買い替える気でしたが、残念ながら私が求める仕様のレンズではありませんでした。GF110mm、GF50mm、GF35-70mm、どのレンズと置き換えても私がメリットに感じている部分が失われてしまいます。あぶく銭が40万円あったら問答無用で買いますけどね。欲しいかと問われれば欲しい!でも一般庶民の私が色々切り詰めて検討する範疇では、要件にマッチしませんでした。
しかし私が挙げた点が許せる人、気にならない人には素晴らしいレンズだと思います。換算45mmの画角であの描写のレンズは唯一無二でしょうし。最近40mm〜50mmの画角が好きなので正直残念な気持ちでいっぱいです。自分の要求に対して100%マッチした製品が無いことは理解しています。そこを妥協したり使いこなしでカバーできればよいのですが、今回は譲れない部分がアンマッチでした。あぁぁ。。。
おわりに
以上、30分という短い時間でしたがタッチ&トライした感想でした。なるだけ感じたことを書き出したつもりです。
今回は残念なことにボディもレンズも購入見送りとなりそうです。お財布的にはありがたいですけどね。触っている間に一瞬「GFX100 ⅡとGF55mmF1.7だけで写真を撮り切る!」という夢が脳裏をよぎりましたが、今の私には失うものが多い選択。GFレンズのロードマップ的に私の撮影で使いそうなレンズはしばらく発表されないので、55mmには期待していたんですけどねー。描写が素晴らしい事は確認できたので「いずれ欲しいレンズリスト」の上位にランクインさせておこうと思います。おわり。