shigiphoto days

FUJIFILM GFXシリーズで撮った写真をつらつらとご紹介。

織部好みときれいさび

私の好きな漫画に「へうげもの」という作品があります。戦国時代の茶人、古田織部が主人公で、武人でありながらその時代の趣味である「数寄(茶の湯)」に傾倒する様を面白おかしく描いたものです。趣味に生きる私たちには少なからず重なる部分があって、楽しめると思いますよ。

この漫画は茶の湯が千利休から古田織部(その後、小堀遠州、俵屋宗達、本阿弥光悦、上田宗箇に引き継がれていく)へ引き継がれる様が描かれていて、その変遷は特徴的な色で表現されています。千利休は「黒」、古田織部は「緑」、小堀遠州は「白」といった具合で。私はこの織部の緑が好きで「織部焼き」のマグカップを購入したりもしています。


前置きが長くなりました。彼岸花の撮影に近所のお寺にお参りした時のことです。一通り撮影が終わって駐車場へ移動する最中、綺麗な青紅葉を見つけました。私の大好物なので条件反射で撮影です。

で、撮影する瞬間に思いつきました。へうげものに掛けて、カラーは織部/モノクロを小堀遠州をイメージしよう、と。いっつも同じ被写体を同じ様に撮影して満足していので(それ自体に悔いなし)この考えは我ながら妙案に思えました。イメージに近づけるため、フィルムシミュレーションはクラシックネガと明るめのACROSを選択しました。

 

 

特に茶の湯や「へうげもの」という作品に興味のない方には、同じ被写体をカラーとモノクロで撮り分けただけ、に見えると思います。まぁ当然でしょう。ですが私個人としては自分の興味あるものを写真に展開できたのは面白いアプローチでした。今までは、美しい被写体をあるがままに美しく切り取る事に注視するスタイルでしたので。少しずつ自分の写真も(機材だけでなく)進歩してるかもなぁ…と思える出来事だったので文章にしてみました。おしまい。